学びの次は派遣で実務経験!厚労省「実践の場」とは?35歳以上対象


派遣社員として働いていて、スキルアップして時給を上げていきたいと思うのは当然のことです。
「これからの時代はデジタル分野が熱い!」
そう考えて、職業訓練や民間の講習で、プログラミングやWeb制作などを学んだ方もいるのではないでしょうか。そして、いざそのスキルを使った仕事に就こうとして立ちはだかるのは、「実務経験〇年以上の方」の求人ばかり。
せっかく勉強しても、そのスキルを活かした実務経験を積む場がなかなかないのが現実です。
私自身も職業訓練校でVBAの勉強をして、VBAエキスパートを取得しましたが、その後、VBAの仕事に就くことができずに苦労しました。「せっかく勉強しても、実務に就ける場がないなら、いつまでたっても経験できない」
と何度思ったかわかりません。その後、諦めずにVBAの仕事を探し続け、運よく実務経験がなくてもVBAの仕事ができる派遣先が見つかりましたが、「実務経験を積む」難しさは痛感しました。
そんな私が今回ご紹介したいのが、厚生労働省の「デジタル人材育成のための『実践の場』開拓モデル事業」です。
この事業は、デジタル分野の職業訓練や民間講習などを修了した求職者に、3~6か月間の派遣就業を通じて実務経験を積む機会を提供し、その後の就職も支援するものです。
現在、アデコとパーソルクロステクノロジーの2社が、この事業の受託法人として取り組んでいます。
そして、私が特に注目したのが、35歳以上を対象にしているという点です。
デジタル分野への転職というと、「どうせ若い人だけでしょ」と思った方もいるかもしれませんが、35歳以上の方へチャンスを広げてくれています。しかも、対象となる求職者は無料で参加できます。
ただし、受講した講座の内容や修了時期など、いくつか条件があるため注意が必要です。
この記事では、事業の内容や応募条件、アデコとパーソルクロステクノロジーの違い、申込み方法まで詳しく紹介します。実務経験を積める場を探して苦労した私からすると、学んだ知識を活かせる場が用意されているのは、本当に貴重なことです。今度こそ仕事につなげたい。そんな方は、ぜひ参考にしてください。
募集期間は2027年11月30日(火)までと決まっています。興味を持った方は、自分が対象になるか早めにチェックしてみてくださいね!
「実践の場」とは?|学んだあとに派遣で実務経験を積める国の事業


「実践の場」開拓モデル事業は、厚生労働省がデジタル人材の育成のために進めている事業です。
職業訓練や講座で学んでも、それだけでは実務経験にはなりません。そこで、学んだ人が実際の職場で経験を積めるように、国が「実践の場」をつくるモデル事業として始まりました。
対象は、申込日から概ね1年以内に、公的職業訓練または民間の講座などを修了した方です。
事業の期間は2026年度〜2027年度の2年間で、アデコとパーソルクロステクノロジーの2社が厚生労働省から受託して運営しています。
参加の流れは、大きく3つのステップに分かれます。
- STEP1|デジタル分野の公的職業訓練や民間講習で学ぶ
- STEP2|派遣社員として企業に就業し、3〜6か月間デジタル関連の仕事をする
- STEP3|派遣先にそのまま雇用されるか、別の企業への就職をめざす
出典:厚生労働省「デジタル人材育成のための『実践の場』開拓モデル事業」
「実践の場」で受けられる支援|派遣就業・キャリア相談・就職支援
「実践の場」には、次の4つのメリットがあります。
- 派遣先は、学んだデジタル分野のスキルを使う仕事
- 派遣中に困ったことは、キャリアコンサルタント(アデコでは「キャリアコーチ」)に相談できる
- 派遣期間が終わったあと、本人と派遣先の両方が合意すれば、そのまま直接雇用されることもある
- 直接雇用にならなかった場合も、別の企業への就職をサポートしてもらえる
「実践の場」の参加費用と派遣就業中の給与
参加費用は、アデコ・パーソルクロステクノロジーのどちらも無料です。
アデコの無料研修(OFF-JT)も費用はかかりませんが、受講中の給与は出ません。
ただし、参加する前に受ける民間講習の受講料は、この事業で無料になるわけではありません。
派遣就業中は、派遣社員として働いた分の給与が支払われます。
- アデコ:時給は派遣先によって違います。交通費は規定に沿って別に支給され、給与は原則として月末締め・翌月15日払いです
- パーソルクロステクノロジー:働き始める前に、給与や勤務時間などの条件が示され、納得したうえで就業します。求人例の時給は1,500円〜2,500円です(2026年9月時点)
出典:アデコ・給与と研修のFAQ、パーソルクロステクノロジー・費用と求人例
「実践の場」の対象者と応募条件


「実践の場」の対象は35歳以上
「実践の場」に参加できるのは、アデコ・パーソルクロステクノロジーのどちらも35歳以上の方です。
年齢の上限は両社とも書かれておらず、アデコのインタビューには、60代で参加した方も登場しています。
厚労省がデジタル人材の育成のために、35歳以上にチャンスを用意してくれたのは、年齢であきらめかけていた人にとって朗報です😊
訓練・講座の修了から概ね1年以内が条件
アデコ・パーソルクロステクノロジーのどちらも、申し込む日からさかのぼって概ね1年以内に、デジタル分野の訓練・講座を修了していることが条件です。
公的職業訓練の場合、対象になるのはプログラミング、ネットワーク・サーバー管理、Webデザイン、データサイエンスなどのコースです。
民間講習の基準|アデコとパーソルクロステクノロジーの違い
☑️パーソルクロステクノロジーでは、民間の講座で学んだ場合、次のいずれかを修了していることが条件です。
- ITSSレベル2以上の資格取得をめざす講習
- 受講時間が200時間程度のデジタル分野の講習
- そのほか、デジタル分野への就職につながると評価できる講習
※ITSS(ITスキル標準)は、IPA(情報処理推進機構)がITの仕事のスキルを7段階で表した目安です。
レベル2は、上の立場の人の指導を受けながら仕事を担当でき、プロとして必要な基本的な知識・技能がある段階とされています。(出典:IPA「ITスキル標準とは」)
☑️アデコは民間講習の細かい基準を公開していないので、自分が受けた講座(これから受ける予定の講座)が対象になるかは、申し込む前に問い合わせて確認してみてください。
今の仕事を続けながら転職をめざしたい方は、アデコのリスキリング支援も参考にしてみてください。
在職中の方が対象で、2027年3月末までの制度です。


アデコとパーソルクロステクノロジーの「実践の場」比較
| 項目 | アデコ | パーソルクロステクノロジー |
|---|---|---|
| 募集期間 | 2026年4月8日(水)〜2027年11月30日(火) | 2026年6月30日(火)〜2027年11月30日(火) |
| 民間講習の基準 | 記載なし(要問い合わせ) | ITSSレベル2以上をめざす講習/200時間程度の講習/その他 |
| 募集職種 | プログラマ、エンジニア、ヘルプデスク、運用管理・保守、Webマーケティング、Web制作など | プログラマー、システムエンジニア、ヘルプデスク、Web制作、CADオペレーター、ドローンなど |
| 派遣期間 | 3〜6か月 | 3か月〜最大6か月(終わりは2028年2月末まで) |
| 勤務時間 | 週20時間以上 | 就業前に条件として明示 |
| 参加費用 | 無料 | 無料 |
| 研修 | 無料のOFF-JT(4週間) 学んだ内容に加え、現場で活かせるスキル習得をサポート | 無料セミナー、資格支援 (実践の場での就業中・就業後) |
| キャリア支援 | キャリアコーチ・キャリアサポーターが登録から就職まで担当。派遣先が決まるまでに3回以上の相談 | 国家資格を持つキャリアコンサルタントが3回以上面談 |
| 派遣終了後 | 双方の合意で直接雇用の場合あり。直接雇用にならなかった場合は就職支援 | 双方の合意で直接雇用の場合あり。雇用契約終了後も1か月間の就職支援 |
| 申込み | 電話、Web予約(対面相談もできる) | Webフォームまたは電話 |
| 問い合わせ | 050-4560-4812(平日9時〜18時) | 03-6370-6850(平日9時〜18時) |
出典:アデコ「実践の場」事業サイト/パーソルクロステクノロジー「実践の場」事業サイト
アデコの「実践の場」の特徴|キャリアコーチの伴走と無料研修
アデコでは、希望者は派遣先で働き始める前に無料の研修(OFF-JT)を受けられます。
また、キャリアコーチ・キャリアサポーターが、登録時の面談から就職まで同じ担当として付いてくれます。登録から派遣先が決まるまでの間に、キャリア相談が3回以上あります。
派遣先は、事業サイトの求人に自分で応募することも、登録した内容をもとに紹介してもらうこともできます。
アデコの無料研修(OFF-JT)|Web制作・インフラ系・開発系の3コース
アデコの無料研修では、訓練や講座で学んだことに加えて、現場で使えるスキルを4週間で身につけられます。コースは次の3つです。
| コース | 主な科目 | 修了後の目安 | 派遣先の例 |
|---|---|---|---|
| Web制作 | UI/UX、HTML・CSS・JavaScript、WordPress、PHP、Figmaなど | コーディングとWebマーケティングの基礎がわかる | Web制作、Webマーケティング、Webデザイン |
| インフラ系 | ネットワーク、情報セキュリティ、Linux、サーバー、SQL・データベース、AWSなど | インフラ・ネットワークエンジニアの基礎がわかる | システム運用保守、サーバー・ネットワーク管理、ヘルプデスクなど |
| 開発系 | Python、Java、Git、ローコード開発、kintoneなど | プログラマーとしての基礎が身についている | システム運用保守、テスター、SE、アプリ開発など |
受講条件
- 受講時間は約60時間で、4週間での修了が目安
- 受けられるのは原則1コースのみ
- 受講中の給与は出ない
- パソコンのほか、スマートフォンやタブレットでも受講できる(ネット接続の環境が必要)
- 資格取得の支援はなし
- 受講にはアデコへの登録が必要
出典:アデコ「無料のOFF-JT」/アデコ「よくあるご質問」
パーソルクロステクノロジーの「実践の場」の特徴|CAD・ドローンなど職種が幅広い
パーソルクロステクノロジーは、プログラマーやシステムエンジニア、ヘルプデスクなどのIT系に加えて、CADオペレーターやドローンなどの職種もあるのが特徴です。
事業サイトには、次のような求人例が載っています(2026年9月時点)。
| 職種 | 勤務地 | 時給 |
|---|---|---|
| サーバーエンジニア | 東京都文京区 | 1,800円〜2,500円 |
| CADオペレーション(機械) | 神奈川県相模原市 | 1,900円〜2,200円 |
| テクニカルサポート(IT) | 東京都台東区 | 1,500円〜1,800円 |
| ヘルプデスク・キッティング(IT) | 神奈川県横浜市 | 2,200円〜2,400円 |
サポート面では、国家資格を持つキャリアコンサルタントが、登録時や派遣開始時などに3回以上面談してくれます。派遣中は、専任のキャリアコンサルタントと営業担当の両方に相談できます。
雇用契約が終わったあとも1か月間は就職支援が続くほか、無料セミナーや資格支援・優待制度もあります。
アデコもパーソルクロステクノロジーも、私が長年お世話になっている派遣会社です。どちらも担当の方が丁寧で、働き始めてからもいろいろと相談にのってもらえたので、どちらも自信をもっておすすめできます😊
※派遣会社の登録ページです(「実践の場」の申込みとは別です)
「実践の場」でアデコとパーソルクロステクノロジーを選ぶときのポイント
迷ったときは、次のように考えると選びやすくなります。
- アデコ:就業前にもう少し学んでおきたい方、訓練や講座で学んだけれどまだ自信がない方。無料研修(OFF-JT)で現場で使えるスキルを身につけてから働き始められます
- パーソルクロステクノロジー:学んだことを活かして、すぐに実務経験を積みたい方、CADやドローン関連の仕事に興味がある方
個人的には、デジタル分野で働いてみたいけれど不安がある方はアデコ、IT業界でバリバリ働きたい方はパーソルクロステクノロジーが合うと思います。悩む場合は、両方に問い合わせてみて、自分に合うと感じたほうを選ぶのが確実ですね😊
「実践の場」の申込み方法と参加の流れ
アデコの「実践の場」参加の流れ
- STEP1|申込み:Web(または電話)で申し込む
- STEP2|登録:キャリア面談などを受ける(希望者は無料のOFF-JTも受講できる)
- STEP3|就業開始:派遣社員として3〜6か月就業し、デジタル分野で経験を積む
- STEP4|デジタル業界へ就職チャレンジ:派遣期間の終了後は、キャリアコーチ等による応募書類の添削などのサポートを受けながら、正社員・契約社員・パート・アルバイト・業務委託などの採用に応募する


パーソルクロステクノロジーの「実践の場」参加の流れ
- STEP1|申込み・登録:Webフォームか電話で申し込む
- STEP2|マッチング:派遣先を紹介してもらう
- STEP3|就業開始:給与や勤務時間などの条件を確認し、合意したうえで就業する
- STEP4|定期面談:キャリアコンサルタントと定期的に面談する
- STEP5|就職・キャリアアップ支援:派遣期間のあとの就職を支援してもらう(双方の合意により直接雇用となる場合もある)


「実践の場」を利用した人の声
アデコの事業サイトに掲載されている、この事業に参加した方のインタビューを要約してご紹介します。
30代・医療系と営業からIT業界へ|動画インタビュー
リハビリと営業の仕事をしていたときに、シフト管理のアプリを作ったのがITに興味を持ったきっかけです。就職活動と並行して参加し、実際に働きながら職場の雰囲気や仕事の内容を知ることができました。
出典:アデコ「実践の場」IT業界求職者インタビュー(30代男性)
60代で人材育成の仕事からIT業界へ|プロジェクトマネージャー見習いとして働く事例
企業研修やセミナーの企画・運営をしていましたが、60歳を機にIT分野に挑戦しようと決めました。派遣で1年あまり実務を経験したあと、さらに経験を積みたくてこの事業に参加しました。働きながら会社と自分がお互いを見極められたのが心強かったです。今はプロジェクトマネージャー見習いとして、会議の進行やお客様への報告などを担当しています。
40代で音楽制作からIT職へ|プログラミング教室で学んでから参加した事例
ゲームやアプリの音楽をつくる仕事をしていましたが、子どもが生まれて、家庭と両立できる働き方に変えたいと思いました。リスキリング制度でプログラミング教室に通い、そこでアデコを紹介されて参加しました。今はITサポートとして、システム全般を担当しています。
「実践の場」の応募・派遣就業についてよくある質問
- 正社員経験や資格がなくても「実践の場」に応募できますか?
-
応募できます。正社員経験や資格、業界経験がなくても申し込めます。ただし、申込日から概ね1年以内に、公的職業訓練か民間講習を修了している必要があります。
- 「実践の場」に年齢の上限はありますか?
-
年齢の上限は決められていないようで、インタビューには60代で参加した方も登場しています。気になる方は、申し込む前に問い合わせてみてください。
- 「実践の場」には何回まで参加できますか?
-
原則として1人1回までです。
- アデコの無料研修(OFF-JT)中に給与は出ますか?
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受講中の給与は出ません。費用は無料で、受けられるのは原則1コース、受講時間は約60時間です。
出典:アデコ「よくあるご質問」/アデコ「事例・インタビュー」/パーソルクロステクノロジー「実践の場」事業サイト
(2026年9月時点)
まとめ|学んだスキルを次の仕事へつなげたい方へ
「実践の場」開拓モデル事業は、35歳以上で、公的職業訓練や民間講習でデジタル分野を学んだ方が、3〜6か月の派遣就業で実務経験を積み、その後の就職まで支援を受けられる事業です。
職業訓練や講座で学んだ多くの人が抱える「学んだことを次の仕事に活かせない」という悩みに、応えてくれた事業だと思います。
デジタル分野を学ぶには、かなりの時間と努力が必要だったはずです。
私自身も、VBAを勉強したときは、プログラミングの概念がわかるまで本当に苦労しました。
その努力を無駄にしないためにも、厚労省の「実践の場」を利用して、ぜひ実務経験を積み、さらなるキャリアアップを目指してほしいと思います。
ただ、残念なのは期限が決まっていることです。アデコもパーソルクロステクノロジーも募集は2027年11月30日(火)までなので、興味を持った方は早めに一歩を踏み出してみてください。
私がVBAエキスパートを取得してから、実際に仕事につながるまでの経験は、こちらの記事にまとめています。




※当ブログの内容は、管理人の実体験と主観に基づいたものです。できる限り正確な情報を心がけていますが、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。






