同じ派遣先で長く働いていると、できることが増えたり、頼られる場面も増えてきます。
入社当初より効率的に仕事ができているのに、「そろそろ時給、少し上がってもいいのでは?」と感じるのは自然なことですよね。
でも、「派遣社員って時給って本当に上がるの?」「交渉しても大丈夫なの?」と不安に思う方も多いはずです。
派遣歴30年の私の体験から言うと、時給アップの交渉は可能です。
ただし、現実は「上がったらラッキー」くらいの気持ちでいた方がいいかもしれません。
この記事では、派遣社員の時給がどう決まるのか、交渉のタイミングや実際に上がった金額、そして上がりにくい理由まで、体験談を交えてリアルにお伝えします。

時給が上がると、やっぱり仕事へのモチベーションも変わってきますよね✨
でも、現実はなかなか厳しいことも…。
派遣の時給について気になっている方の参考になれば嬉しいです😊
派遣社員の時給はどう決まる?仕組みとアップの可能性
派遣社員の時給は、派遣先企業が派遣会社に支払う「派遣料金」をもとに、さまざまな要素を考慮して決定されます。
まずはその仕組みを理解することで、「時給アップの可能性」が見えてきます。
派遣料金と時給の関係
✅派遣料金の中から、以下の費用が差し引かれます
- 派遣社員の給与(時給)
- 社会保険料
- 派遣会社の運営費・利益(マージン)
💡 一般的には、派遣料金の約7割が派遣社員の時給に充てられ、残りの約3割が派遣会社のマージンと言われています。
時給を左右する主な要因
✅以下の要素によって、時給の設定に差が出ます:
要因 | 内容 |
---|---|
職種・業務内容 | 専門性が高い職種(IT・医療・金融など)は時給が高くなる傾向あり |
スキル・経験・資格 | 経験年数や資格の有無で即戦力と判断され、時給が上がりやすくなる |
勤務地 | 都市部は地方より時給が高くなる傾向がある |
需給バランス | 人手不足の業界や希少スキルは高時給になりやすい |
派遣先企業 | 同じ職種でも企業によって派遣料金の設定が異なり、時給に差が出ることも |
法的な基準と制度
✅2020年以降、「同一労働同一賃金」の制度により、派遣社員の賃金は以下のいずれかの方式で決定されることが義務付けられています:
- 派遣先均等・均衡方式
派遣先の正社員との不合理な待遇差をなくす方式 - 労使協定方式
同種の業務に従事する一般労働者の平均賃金と同等以上の水準を確保する方式
※多くの派遣会社がこの方式を採用しています
時給アップが狙える3つのタイミング
派遣社員でも、タイミング次第では時給アップの交渉が可能です。
ここでは、実際に交渉しやすいとされる代表的な3つのタイミングをご紹介します。
① 長期就業で実績を積んだとき
契約期間の満了が近づく1〜2ヶ月前には、契約更新の確認のために派遣営業との面談が行われます。
このタイミングで、時給について相談してみるのが自然です。
ただし、入社して初めての更新では少し早すぎる印象も。
おおよそ1年ほど継続して働いた後の更新時が、交渉の目安と考えるのが妥当です。
② 資格や資格や新しいスキルの取得
業務に関連する資格やスキルを取得したことで、業務の理解度や対応力が向上した場合も交渉のチャンスです。
たとえば以下のような資格が挙げられます:
- 簿記(経理・事務系)
- MOS(Microsoft Office系)
- TOEIC(英語対応業務)
「即戦力としての価値が上がった」と伝えられると、時給アップにつながる可能性があります。
③ 業務内容や責任範囲が拡大したタイミング
組織変更や社員の異動などにより、任される業務の範囲が広がったり、責任が重くなった場合も交渉の好機です。
たとえば:
- 担当業務が増えた
- 社員のサポート業務が追加された
- 他部署との連携が増えた など
「業務の変化=評価ポイント」として、時給見直しの根拠になります。
時給アップでどれくらい収入が変わる?実例と計算
派遣社員の時給アップは、平均で50円程度と言われています。
一見わずかに思えるかもしれませんが、月単位・年単位で見ると、意外と大きな差になります。


私の実感では、1年経過後に50円アップできれば、かなり良い方だと思います。
実際には「10円」「20円」など、思わず「えっ?」となるような金額も珍しくありません。
💰 時給50円アップの場合の収入差
50円 × 8時間 × 20日 = 月8,000円の増加
年間にすると、約96,000円の差になります
なぜ派遣社員の時給アップは難しい?
時給アップの交渉が可能とはいえ、現実にはなかなか難しい場面も多いのが実情です。
ここでは、派遣社員の時給が上がりにくい理由を5つの視点から整理してみます。
派遣料金の上限がある
企業は「この業務には〇〇円まで」と予算を設定しており、それ以上の時給を出すのが難しいケースが多くあります。
業務内容に対して支払える金額が決まっているため、予算の壁が交渉のハードルになることも。
派遣会社の収益構造
派遣料金から時給を支払った残りが、派遣会社のマージン(利益・運営費)になります。
時給を上げるとマージンが減るため、派遣会社側も慎重になりやすいのが現実です。
他の派遣社員とのバランス
同じ職場で働く他の派遣社員との公平性も考慮されるため、一人だけ大幅に時給を上げるのは難しいとされます。
「横並びの調整」が優先されることもあります。
業務の成果が見えにくい
事務派遣などの業務は、サポート的な役割が多く、成果が数値化されにくい傾向があります。
そのため、評価が曖昧になり、時給に反映されにくいことも。
評価されても時給に反映されないことがある
多くの企業では、派遣社員の予算を人事部や経理部が一括で管理しており、派遣先企業の現場担当者が時給を決定する権限を持っていないことがほとんどです。
そのため、現場で「頑張っている」「仕事が早い」と評価されても、予算の枠を超えるのは難しく、時給アップにつながらないケースが多いのが実情です。
私の体験談と交渉のリアル
なかなか厳しい現実
これまで、いくつもの派遣先で働いてきましたが、景気よく時給をどんどん上げてくれた企業は、正直ひとつもありませんでした。
1年経って10円や20円アップというケースが多く、年収にすると2〜4万円弱ほど。
月の出社日数で収入が変動する派遣社員にとっては、「収入が増えた!」という実感はほとんどありません。
中には、3年近く働いても1円も上がらなかった派遣先もありました。
1年後に70円ほど上がったのが、これまでで一番大きな上げ幅だった気がします。
私の体感では、だいたい3年でトータル100円上がるくらいが平均的です。
実際、「頑張っても報われないな…」と感じる瞬間もありました。
交渉を後押ししてくれた営業担当とのやりとり
時給交渉について相談したとき、営業担当の対応は本当に人それぞれでした。
ある担当者はとても前向きで、「スキルアップしたことは何か」「できるようになったことは何か」など、アピール材料を一緒に考えてくれました。
また、1年が経ち、ルーティン業務に少し飽きてきた頃、営業担当の方から「そろそろ時給アップの交渉をしてみましょう」と提案してくれたこともありました。
このときは、契約終了になると困るという背景もあったのかもしれませんが、私自身は時給交渉を考えていなかったので、営業側から声をかけてもらえたことが素直に嬉しかったです。
交渉にブレーキをかけられたケースも
一方で、交渉にかなり消極的な営業担当もいました。
「下手に時給交渉して契約終了になっても大丈夫ですか?」と、契約終了のリスクばかりを強調し、何度も「本当にいいんですね?」と確認されるばかり。
私が派遣先でどんなふうに頑張ってきたかには一切関心を示さず、まるで「辞めさせられても、こっちは知りません」と言わんばかりの対応でした。
実際、「派遣社員の代わりなんていくらでもいる」という空気を感じる派遣先もあり、
「時給を上げるなら、別の派遣社員にお願いしよう」と考える企業もあるのかもしれません。
時給アップを実現するためにできること
スキルアップ(MOS・簿記・TOEICなど)で交渉材料をつくる
時給交渉をする際には、「何ができるようになったか」「どんなスキルが身についたか」を具体的に伝えることが大切です。
MOSや簿記などの資格取得はわかりやすいアピール材料になりますし、実務でのスキルアップも十分な交渉材料になります。英語に触れる業務がある場合は、TOEICのスコアも有効です。
「前よりもできることが増えた」「業務の幅が広がった」など、数字や成果とセットで伝えると説得力が増します。
営業担当と一緒に整理できると、交渉の成功率も高まります。
高時給の求人に転職するという選択肢も
はっきり言って、100円〜200円と時給を上げたいなら、今の派遣先に期待するよりも、別の求人に転職したほうが可能性は高いです。
私自身、同じスキルセットのままで、200〜300円高い時給の職場に転職できた経験があります。
ただ、実際に入ってみると「時給が高いのには訳があるんだな…」と感じる場面もありました。
業務量や責任、人間関係など、見えないプレッシャーが想像以上に大きく、心身ともに消耗したこともあります。
こうした部分は、入社してみないとわからないことも多く、判断が難しいところです。
そのあたりを踏まえると、今いる慣れた職場で少しでも時給が上がる、あるいはそのまま働き続けるか、
リスクを冒して別の職場へ移るかは、じっくり検討してみる価値があると思います。
交渉の注意点と成功のコツ
交渉は派遣会社を通して行う
時給交渉は、派遣先の上司や担当者に直接伝えるのはルール違反になります。
あくまで、派遣会社の営業担当を通して行うのが正しい手順です。
現場での評価が高くても、交渉の窓口を間違えると、かえって信頼を損ねてしまうこともあるので注意が必要です。
具体的な成果や貢献を明確にする
「時給を上げてほしい」と伝えるだけでは、交渉はなかなか進みません。
業務範囲の拡大、スキルアップ、業務効率化、仕組み化など、具体的な成果や貢献を数字や事例で示すことが大切です。
たとえば「マニュアルを整備して新人教育がスムーズになった」「Excel業務を自動化して作業時間を短縮した」など、“誰が見てもわかる変化”を伝えると説得力が増します。
自身の勤務態度を振り返る
派遣先企業での評価や業務への貢献度を、客観的に振り返ることも重要な準備のひとつです。
業務でのミスが多い、遅刻や欠勤が目立つ、周囲との協調性に課題があるなど、勤務態度に問題がある場合は、交渉が通りにくくなる可能性があります。
「自分はどう見られているか」を冷静に見つめ直すことで、交渉のタイミングや伝え方も変わってきます。
交渉しても必ず上がるとは限らない
ある調査によると、時給交渉をした結果「上がった」と答えた人は65.7%、
「変わらなかった」と答えた人は34.3%だったそうです【参考:派遣ソムリエの記事】。
必ず上がるとは限りませんが、交渉する余地は十分にあります。
「どうせ無理」と決めつけず、準備を整えたうえで、一度チャレンジしてみる価値はあると思います。
まとめ
派遣社員でも、時給アップは十分に可能です。
実際、頑張りをしっかり評価してくれる企業も存在します。
特に外資系企業などでは、成果に応じて昇給のチャンスがあるケースもあり、努力が報われる環境に出会える可能性もあります。
とはいえ、派遣先の方針やタイミングに左右されることも多く、期待しすぎるとがっかりしてしまうこともあるかもしれません。
派遣で働いていると、「頑張っても報われない…」と感じる瞬間が訪れることもあります。
業務に慣れて飽きてきた、時給も上がらない――そんなときは、転職という選択肢を検討してみるのもひとつの方法です。
ただし、転職にはリスクもあります。
だからこそ、今の自分のスキルや業務内容で、どのくらいの時給が相場なのかを把握しておくことが大切です。
複数の派遣会社の求人を定期的にチェックしておくことで、
「今の職場にとどまるか」「新しい環境に挑戦するか」の判断材料になります。



有期の派遣社員って、数か月に一度「契約更新あるかな…?」ってドキドキしますよね。
いつ契約が切れてもおかしくない働き方だからこそ、時給交渉や転職の準備は、ふだんから少しずつ整えておくのが安心かもしれません🍀
※当ブログの内容は、管理人の実体験と主観に基づいたものです。できる限り正確な情報を心がけていますが、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。